今回の記事は長いです。
人との出会いとは面白いものでその計り知れない未知数の領域は同時に僕を心から期待させる。ようするに「人と出会うって楽しいね」って事です。
昨日は3つの予定があって、それぞれがとても濃密な時間だった。午前中から大岡山にある東工大に出かけそこの一大アートイベントに出るための音楽オーディションの審査をした。東工大のすぐ裏にあるドイツパン屋「Himmel」でパンを買い、大学の中庭で鳩にちぎったパンを少しあげ本を読みながら昼の一時を過ごした。キャンパスは楽しそうな顔や不安そうな顔や時には険しい顔つきで話し合いながら行き来する学生たちがいた。きっと僕なんかが聴いても全く解らない専門的な話をしているのだろう。けどもしかしたら意外と険しい顔つきで恋愛について語り合っていたのかもしれない。天気が良いのもあってベビーカーを押しながら楽しそうに過ごすママさん達もいた。みんな昼食を楽しんでいた。そこはちょっとしたフェスティバルが催されているかのようだった。
さて、オーディションだがみんなとてもレベルが高くそして何よりも一生懸命演奏していて楽しかった。ここのオーディションでプロコフィエフの「悪魔的暗示」を聴けたのは興味深い。あれは僕も大好きです。「Art at Tokyo Tech.」と題されるアートイベントは色んなレベルのアートイベントを提供しており、海外からのアーティストも積極的に招聘している。題名からわかる通り「アートイベント」であって「音楽イベント」ではないので、その内容は音楽だけでなくアートに関係あるもの全てを許容している。
オーディションが終わった後に「鈴木照男」さん(アーティスト)を紹介された。彼の感じている世界観がとても興味深くそのお話に聴き入ってしまった。彼の事を簡単に書かれているものがあるのでそれをご紹介しよう。
-鈴木照男は日本が生んだアーティストの中でも異色の存在である。それは世界各地の風土に根ざしたサウンドインスタレーション・造形をとおして、音と空間と人工物を時間の束縛から解放し、普遍の天空を仰ぎ見させるものであるからだ。- 世界文明センター 芸術学院ディレクター 肥田野登
鈴木照男「Akio Suzuki Web Site」
鈴木さんと何か一緒に出来ないかという話で盛り上がり、肥田野さんと鈴木さんの3人でのヒトトキはとても充実していてあっという間に時間が経ってしまった。楽しい時間はなぜこんなに経つのが速いのだろう? この素晴らしい時間が終わりを告げた後、オーディション会場に戻り響板が修理されかなりベターになったピアノを試弾した。メーカーは古いBechstein。東京藝術大学から寄贈されたとの事だ。本当に古い。どのくらいなんだろうか。これは普段「工房コンサート」でお世話になっている八王子にあるユーロピアノの加藤さんに聞けばわかるだろう。たぶんこのブログを読んでくれている(と勝手に思ってるだけだけど)と思うので、この記事を読んだらメール下さい。この古いBechsteinは八王子の工房で修理されているのだ。
試弾を終え、急いで東急目黒線に飛び乗り日比谷に向かった。
そこでは友人Wと会いせっかく日比谷に来たのだから銀座のお洒落なカフェで・・・という気持ちで近くの若干リーズナブルなSegafredoに入る。とは言っても普段僕らは「150円で美味しいコーヒー」とうたっているVeloceでお茶をするのでそれに比べれば倍高いわけだ。という愚痴も含めつつ僕らは今の仕事、将来、夢・・・について語り合った。友人WはEkeko人形をプレゼントしてくれた。「えぇっと、結婚祝いと出産祝いとこれから起こりえる何かに」との事だった。結婚してからずいぶん経つんだが。にしても楽しい時間はなぜこんなに経つのが早いのだろう?ちなみに友人Wは15年来の友人だ。
その後すぐ近くにある帝国ホテルに行き、とある会合に参加。そこは一般企業を始めマスコミ、医療、作家など色んな分野で活躍されてる方々が集まっている。そして僕の演奏会にも来て頂いている。応援して下さっている。心からの感謝の意を込めてリストを演奏させて頂いた。僕はいろんな方々からの温かい応援が支えとなり始めてステージでピアノを弾けているんだ。
中には「会社の工場がタイで浸水してしまった」と、タイを行き来している多忙の中、大切な友人たちのためにこの会合に駆けつけた方もいた。都内でギャラリーを営んでいる方はそこの収益金の一部を世界の子供たち(ストリートチルドレン、難民、障害など)の平和のために寄付を続けている。そして先日起きたリビアでの取材中交通事故で亡くなられた方の関係者も来られていた。みんなで1分間の黙祷をささげた。作家の田中真知さんはエジプトの奥地にある(勿論道のようなものはない)砂漠の岩場をくりぬき洞窟を作りそれを修道院として7人ほどしか住んでいない、僕からしてみたら想像もつかない地の果てのような場所(その場所はスターウォーズの砂漠の惑星タトゥーインを連想させた・・・そういうところだ)に取材をしに行きその時の様子をプレゼンテーションしてくれた。その場には国際協力機構(JICA)の方々もおられた。みなさんが世界の現状と言うものを肌で感じ想像を絶する苦難を目の当りにされており、深い経験として共感共有されていた。そして各々が自分の出来うることを日本を含む世界的な視点で還元されており、僕はそれを羨ましく思えた。自分の音楽は何に役立つのだろう、と。
この日に会った方々はみんなグローバルな感覚を持ち合わせ、決して狭い視野で物事を見ることをせず、変な固定概念など微塵もなく、柔軟にacceptするとても気持ちの良い人たちだった。この様な人との出会いは必ず僕に大きな影響を与え、それは確実に音楽に反映されていくのだろうと確信している。「ART LIFE」で言いたいことはつまりこういう事なのだ。

